※ 2017〜2018年にはてなブログ(「英語クエスト」)に綴っていた記録を、2026年にまとめ直したものです。当時の文章を、論旨や具体例もできるだけそのまま残して再構成しました。
カナダ留学に出発する前の2017年春から夏にかけて、僕は思いついたことをよくブログに書き留めていた。英語学習の合間の、とりとめのない思索。今読むと気恥ずかしいけれど、二十歳前後の自分が何を考えていたかの記録として、いくつか残しておく。
「考えすぎる」という性分 ―『青年期経験中』
青年期は、少年と大人の中間期だ。少年が大人になるために通る道で、どちらの性質も持ち合わせている。分かりやすく二元論的に、子供と大人を比べてみる。
| 〈子供〉 | 〈大人〉 |
|---|---|
| ①感覚的 | 理性的 |
| ②経験が少ない | 様々な経験あり |
| ③知識が少ない | 多様な知識あり |
| ④行動に制限が多い | ほぼ何をしても自由 |
| ⑤責任が伴わない | 責任が伴う |
その中間で揺れているのが、当時の大学生の僕だった。ここでは特に②③④に関わる、大学生の人間関係について書いてみたい。
結論から言うと、「青年期における深い人間関係の構築は、難しい人にとっては難しいのではないか」というのが、当時の僕の感覚だった。ここでいう "難しい人" とは、何かアクションを起こす前に、その結果やメリット・デメリットを考えてしまうタイプ。思慮深い、見方を変えれば打算的な人。僕もこのタイプだ。
理由は2つあると考えた。1つは、特定の人と日常的に時間・空間を共有する機会が減ること。大学には小中高のような「クラス」がなく、講義ごとに受講者が変わるから、密な関係を築きにくい。人は共有した時間が長いほど仲良くなれる(単純接触効果)。だから自発的にサークルなどのコミュニティに入り、交流の機会を自分で作るしかない。
もう1つは、初対面の人と話すとき、いろいろ考えすぎて立ち入った話に踏み込めないこと。たとえば趣味を聞かれただけで、頭の中ではこんな声が一瞬で回り出す――「映画鑑賞が好きだけど、果たして趣味と言えるほど観ているだろうか。他人と語り合えるほど造詣が深いのか。もし相手が本物の映画好きだったら、その後の会話についていけるだろうか。ついていけなかったら恥ずかしいし、相手に申し訳ない」。我ながら考えすぎだと思う。対策はたぶん、自分から身の上話をすること。そうすれば相手も親近感を抱いてくれるし、こちらが多少踏み込んだ質問をしても、悪気がないと分かってもらえる。
……ひとつ断っておくと、これらは完全に当時の僕の個人的な感覚だ。時が経てば、この考えも変わるかもしれない、とも書いている。
異国の友と、英語で話すということ ―『異国の友』
この頃、国際交流のイベントに積極的に参加して、留学生の友達を作った。7月の英検1級二次対策と8月のカナダ研修に向けた英語強化が目的のひとつ。でもそれ以上に、自分とは違う文化・環境で生きてきた人と交流し、価値観を共有・比較し、議論を通じて価値観を戦わせ、グローバルな視点を身につけたいという思いがあった。
彼らと話していて、自分の英語についてこんなことを感じた。
- ネイティブスピードで速くは話せない
- でも、ネイティブスピードで聴くことはできる
- スピードは遅いが、言いたいことは話せる
- 1対1の会話なら、それなりに成り立つ
- 多人数での会話だと、参加できずに「空気」になってしまう
この「多人数の壁」は、このあとカナダでも痛感することになる。
同世代の起業家に刺激されて ―『同世代に起業→成功している人がいるという現実』
プログラミングの記事をネットで漁っていたら、無料で学習サービスを提供している会社の社長が、自分と同世代だった。しかもその会社は急成長中。その現実に刺激されて、自分の職業的な将来を考えてみた。
就職するなら、職種は得意の英語か、専攻の情報か。あるいはその両方を組み合わせた、外資系ITのような複合職かもしれない。いずれにせよ、その道を極めて会社に貢献しなければお金はもらえない。第一に求められるのは、その分野での習熟度だろう。
起業するなら、漠然と興味があるのは次の3つ。
- 英会話スクール ← 英語が得意だから
- ノベルゲーム制作 ← 昔から好きなジャンルで、プログラミングを活かせて、ニッチで新規参入しやすいから
- IT便利屋 ← Web制作でもシステム開発でも、IT関係なら何でも請け負う。重宝されそう
組織を効率的・合理的に動かすには、指揮能力――カリスマ性と言い換えてもいい――が要る。組織の上に立つ人間は実務をほぼせず、部下に指示を出す。だから指揮能力が重要になる。就職と起業、どちらが大変かといえば、答えは明らかでどちらも大変だ。本質は「どこにやりがいを見出すか」ではないか。僕は、上に立って指示を出し、組織がうまく動いて良い結果が生まれたときに、強くやりがいを感じる。だから将来は起業して組織を動かせたらいい。もちろん簡単ではないから、まず実際に働いて組織の動かし方を身につけてから起業するのも大いにアリだ。
まとめると、「周りにスゲーやつがいるから、俺も頑張ろう」という話である。
フロイトの防衛機制をノートする ―『フロイトに学ぶ』
心理学に興味を持って、フロイトの説いた自我の防衛機制を書き出したことがある。せっかくなので、そのノートも残しておく。
- 同一視 … 目標とする人と自分を重ね合わせる
- 抑圧 … 衝動・記憶・イメージを意識から追放する
- 転換 … 心の葛藤が体の症状として現れる
- 反動形成 … 抑圧した感情と正反対の態度をとる
- 投影 … 自分の感情を他者に映し出す
- 合理化 … 自分の行為に正当性を後付けする
- 補償 … 得意なことを強調して苦手をカバーする
- 昇華 … 満たされない欲求を、別の行為で満たす
- 打ち消し … 負の感情を引き起こす行為のあと、それを打ち消す行為を行う
- 置き換え … 認めがたい感情を、代理の対象に向ける
- 知性化 … 認めがたい感情を、知的な振る舞いでごまかす
- 退行 … 葛藤から逃れるために、幼児的な状態に戻る
名画に心を打たれて ―『ローマの休日』
「午前十時の映画祭」で『ローマの休日』を映画館で観た。素晴らしかった。アン王女、ジョー・ブラドリー、ジョーの友人の写真家……出てくる人がみんな魅力的。王族ゆえの厳格な生活に疲れた王女が、平民の新聞記者と偶然知り合い、惹かれ合っていく。一見ありがちな設定なのに、観てみるとそんなことを全く感じさせない面白さだった。
オードリー・ヘプバーン演じるアン王女は無邪気で奔放。グレゴリー・ペック演じるジョーは合理的で優しくユーモラス。2人のやり取りが、観ていてとにかく心地よい。たとえば最初の場面。上の空のアンをジョーがタクシーで帰そうとする、その気遣いとユーモラスな返し、運転手との問答に、クスッと来てしまった。スクーターでの2人の爆走、真実の口、スペイン広場のカフェでのジェラート、船上パーティでの乱闘(「ギターの王冠」は個人的に傑作)……魅力的なシーンばかり。
中でも一番好きなのは、最後、ジョーと別れたあとの記者会見。一番良かった都市を問われ、側近の助言に構わず「ローマ」と言い切ったアンの気高さといったら。涙ぐむジョーにもグッときた。ハッピーエンドともバッドエンドとも簡単には片付けられない、重厚で雄弁な物語。観終わったあと、晴れ晴れとした清々しさと、一抹の切なさが残った。まさに映画の醍醐味。今度は字幕なしで、完全なオリジナルを味わってみたい。"Express my appreciation to 'Roman Holiday' from the bottom of my heart."
花火大会で見た、留学生たちの輝き ―『Fireworks with nice guys』
夏、隣町のちょっと大きめの花火大会に、留学生の友人たちと行った。花火はもちろん素晴らしかったが、僕が一番印象に残ったのは、留学生たちの行動力だった。来日して数ヶ月も経たない土地を、Googleマップを駆使して縦横無尽に駆け回り、未踏の地をどんどん開拓していく。随所にアメリカン/イタリアン/アジアンなジョークを交わしながら、楽しんで外の世界を切り拓いていく。きっと彼らはこれまでも様々な国で、こうして文化的な経験を獲得してきたのだろう。その姿が勇敢で輝いて見えて、自分も同じようにありたいと強く思った。
「海外留学、ますます興味が出てきたな」――そう書いたこの約2週間後に、僕はカナダへ旅立つことになる。